Oven Universeの実店舗はD&Departmentに隣接(ほぼ一部)している為、ソファなどの家具のお買い物を楽しむ方をよく目の当たりにします。家具は大体大きいし、それなりにいいお値段。買うにはそこそこの計画性と決心が必要です。
そこで今回は"家具を買うとき、買った後"にフィットしそうな音楽をご紹介。
① Rachel Langlais/ Dothe (LP)
フランスを拠点に実験音楽を発信する地下レーベル<Un Je-Ne-Sais-Quoi>からの一枚。フランスのマルチ奏者Rachel Langlaisがプリペアド・ピアノを活用、2台のピアノを使って製作した実験的な作品ですが、エクスペリメンタルな面と親しみやすさのバランスが良い印象です。ソファの買い替えやちょい足しなど、必要に迫られてはいないが欲しい時などにフィットしそう。1曲目"De belles jours"の1音目、ちょっとした贅沢がしたい気分であった時に、家具を買うことを思いついたような感じでスタート。主にシンプルなフレーズと持続音で構成されている3曲目"Thangen"、お店に来たものの色々見すぎて頭がぼーっとしてきた時の雰囲気です。5曲目"Comme le canard"では軽やかで嬉しい様子の曲調、無理はしていないがそこそこの価格のソファを意気揚々分割払いで購入。続く6曲目"En brasier"ではアルバム冒頭と同じ気持ちの気づきの一音でスタート。購入した現実との向き合いがスタート。ラスト9曲目"Grandroit"はドローンに近い印象のワントーン主体の一曲。思い切った贅沢をまだ心の底からは肯定できず、晩御飯は節約気味です。
② Various Artists/ Nuleaf (LP)
ディープ再発・コンピワークでお馴染みの<Numero Group>から、テクニカルなリードプレイにシンセサイザー、ドラムマシンがグルーヴィに展開する、スムースジャズの名コンピNuLeaf。一貫して、特有のロビー感、RPG感の漂うこちらの一枚は、家具を買う計画から購入、配送、到着後まで全ての場面を、スマートにサポートしているイメージ。特に6曲目"Waiting For You"はギタリストのジョー・パスの弟子としても知られるフランク・ポテンザのギタープレイが輝くファンキーチューンですが、タイトルも相まって、購入した大型家具が自宅に届くまでに聴きたい一曲。どの曲も浮き足立ちすぎることなく、あくまで計画の範囲内での贅沢をしっかりと後押し。
③ Razen/ Blue Rot (LP)
Brecht AmeelとKim Delcourの二人を中心に活動するドローンコレクティブRazenによる<Hands In The Dark>からの2021年作。アルモニカやモノコードなどあまり馴染みのない楽器を使用したオーガニックなドローン作品。機械的な持続音と違った、呼吸のようなうねりなど有機的なサウンドに加え、音の奇妙さや儀式的な雰囲気が心地よく,叙情的すぎることもない印象の一枚。こちらは買う時というより、買った後、メンテナンス時にしっくりきます。木製の家具を持ち帰った後、使う前に一度音を染み込ませる感覚で浴びさせるのにピッタリ。買い手のBGMではなく、家具と共に浴びたい音楽という点が、上記リコメンドとの決定的な違い。家具だけでなく靴磨きの時などにもおすすめです。
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